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鮮明な原音再生のもうひとつの感動PLENUE M
鮮明な原音再生のもうひとつの感動PLENUE M・24bit/192kHz高解像度サウンド・SNR 120dB、THD+N 0.0007%、Crosstalk -132dB、出力2Vrms・超高音質Burr-Brown PCM1795A DAC搭載・時空間の物理的限界をチューニングするJetEffect 7 & BBE+・Full Metal Unibodyの感覚的なDouble Edgeデザイン・最大192GBの容量支援の高音質音源のための豊富な保存空間・世界最高水準のHi-Fi Audio性能PLENUE Mの音を聴いてみると、それ単体で聴いたときにはPLENUE 1と比べて大きな違いは感じない。穏やかに整ってきめ細かいサウンドだ。
続けてPLENUE 1とその場で聴き比べてみると、PLENUE Mではそれらの要素のうち「穏やか」にというところが少し強まっているかと感じる。静かな環境で、同じイヤホンを使ってふたつを並べて比べれば違いがあるが、印象としては「違い」よりも基本的な傾向の「共通性」の方が前に来る。メーカーとしてはチューニングを少し変えたという話らしいが、それでも共通性の方が強く感じられるのは、シリーズとしての骨子がしっかりしているということだろう。
相対性理論「たまたまニュータウン (2DK session)」と花澤香菜さん「こきゅうとす」では、その音楽や音色の湿度感というか粒子の滑らかさと、PLENUE Mの穏やかにきめ細かい質感描写がよく合う。ギターや女性ボーカルの手触りを豊かに出しつつ、荒いざらつきにはしない。その感触を堪能できる。代わりにシンバルの輝きやキレは良くも悪くも落ち着くが、細かく刻むリズムを目立たせすぎない馴染んだ雰囲気が好みの方には、これはこれで気持ちよいだろう。
湿度感というところで言うと、特に注目すべきはバスドラム。音抜けの空気感が乾いて速く抜けるのではなく、気持ちよく湿ってしっとりした空気を通して伝わってくるような絶妙な感触だ。その部分は音源そのものの特質でもあるが、その特質をうまく強めて印象付けてくれる。
坂本真綾さん「30minutes night flight」、TM NETWORK「Beyond The Time」、trinity heaven7「SHaVaDaVa in AMAZING♪(OUT OF LOGIC)」などでは、空間性の豊かさにも感心させられた。
まずそもそも左右のセパレーション等の基本的なところがしっかりしているのか、体感的な空間の広さが十分に確保されている。そしてそれを背景としてきめ細かな粒子感があるので、響きや気配の成分が豊富。となれば総合的な空間性も豊富なわけだ。
そのtrinity heaven7「SHaVaDaVa in AMAZING♪(OUT OF LOGIC)」は、PLENUE Mの他の特性もわかりやすい音源と思える。弱みとも受け取れるのは、アタックの速さや鋭さといったところを少し落ち着かせてしまうところだ。パーカッシブに弾けるベースのスラップ奏法の高音弦側のプル(バチッとまさに弾けている音)の弾けっぷりが大人しくなることでフレーズのアクセントがぼやけることは否めない。
そのおとなしさや落ち着きは、ギターのカッティングでも、パキッとしたキレを弱めてはいる。しかし一方でそれが音色の艶を高めてくれてもいて、好ましくもある。
文:高橋 敦
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。