商品について
電子制御アッテネーターLECUA+ODNF最新バージョン4.0搭載。電源とプリアンプ回路を大幅にグレードアップし
完成度を高めたマーク2モデル。
◆新デザインのメーターパネルと、高応答特性の新メーターユニットを採用したLED照明付き針式アナログメーター。
◆シャーシ電流によるアース・インピーダンスの上昇をシャットアウトする、独立コンストラクションのループレスシャーシ構造。
◆極太のスピーカーケーブルも装着しやすく、Yラグやバナナ端子に対応したインライン(LR同一特性)レイアウトのスピーカー端子(A,B2系統)。
◆不要な外部振動を排除し、本体の重量を強固に支えるグラデーション鋳鉄製インシュレーター(ブラック塗装)。
◆深夜のリスニングに便利なヘッドフォン出力端子と、外付け電源ケーブルの装着を可能にする金メッキと非磁性処理を施したACインレット。
◆ブラスターホワイトカラーの本体に精緻なヘアライン仕上げのトップパネル。
◆対応CDプレーヤーの操作も可能なアルミ製・高級リモコンと、ノンツイスト構造のラックスマン標準電源ケーブルJPA-10000(極性マーク付)を付属。
ラックスマンのプリメインアンプには2系統あって、ひとつが「L-509」に代表されるAB級ハイパワー・モデル、もうひとつがこの「L-590」を筆頭とする純A級モデルである。本機「L-590AXII」は2010年にL-590Aからモデルチェンジした新しいAXシリーズ、「L-590AX」の後継機となる。
全く何でもないようにするりと音が出てくる印象だが、もうひとつこれまでと違うところがある。何だろうとしばらく考えて思い当たった。軽いのである。ふわっと来る。もちろん楽器の質感は密度が高くきめ細かくはあるのだが、それがぎゅっと詰まっていないで、何の抵抗もないようにすっと出てくる。それがふわっとした感覚の正体なのである。
本来、音楽の音は軽いものだ。重低音とよく言うが、あれは映画の効果音であって作り物である。楽器の音はどんなに低い音でも、例えばコントラバスやティンパニーやキックドラムなどにしても、ズドンとかドシンといった音はしない。十分に低く腹に応えるようなドスッとした低音であっても、出方はあくまでふわりとしているものだ。重低音などという言葉に惑わされてはいけない。
解像度が高いのも、その再現性向上に大きく貢献している。ことに低域の分解能はちょっとないもので、ジャズのウッドベースやオーケストラのティンパニーなど音程と音色がどんな状況でもはっきり描き分けられている。驚くほど下の方まで伸びているため、少しも混濁することがないのだ。そもそも低音というのは伸びれば伸びるほど出方は軽く、無理がなくなってゆくものである。
ウェールズ弦楽四重奏団の『モーツァルト:不協和音』(フォンテック)は、弦楽器の音がちょうど目の前で演奏されているような艶と軽快な響きに富んでいる。弱音のごく微細な弦の感触、チェロの存在感、アンサンブルの新鮮さなど、汚れのまるでない澄み切った鳴り方が快い。素のまま、ステージそのままという録音が、そっくり生かされている。
生々しさという点では、バロックがいい例だ。エンリコ・オノフリとイマジナリウム・アンサンブルによる『コレッリ:フォリア』(アンカー・レコード)では、バロック・ヴァイオリンのやや粘りをおびた艶やかな音色がまさしくそのまま聴こえる。弓遣いの微妙なニュアンスが鮮明に捉えられ、バロック・チェロやリュートといったアンサンブルの各楽器も繊細な質感を備えながら存在感が明瞭だ。数人のアンサンブルが、少し離れた位置に点在している様子がありありと浮かぶ。条件は違うが彼らが来日したときのコンサートに、非常によく似た鳴り方である。
聴いてみて少し考えてしまったのは、セパレートのハイエンド機も含めてこういう出方のアンプはあっただろうかということだ。記憶にあるかぎり似た音は幾つか知っているが、ここまで軽い音は聴いていない。その意味で現在最も生に近い出方をするアンプ。そう言って差し支えないように思う。
文:井上千岳
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。