商品について
完全独立のプリアンプ専用電源回路によりパワーアンプに影響されない安定動作を実現
PM-12においては、従来のアナログアンプにおいて大きなスペースを占めていたパワーアンプ回路およびヒートシンクが小型化され、このクラスのプリメインアンプにおいて、かつてないほどの大きなスペースをプリアンプのために使用することが可能になりました。このスペースを最大限に活かし、音質を最優先した回路設計およびパーツ選定を実施。マランツ独自の高速アンプモジュールHDAM-SA3を用いた電流帰還型アンプにJFET入力とDCサーボ回路を組み合わせた1段構成のプリアンプ回路を新開発し、定評ある情報量の豊かさやハイスピードなサウンドに磨きをかけると同時にカップリングコンデンサーの使用個数を減らし、音声信号の解像度および透明感を大幅に改善しました。
入力端子はアンバランス5系統に加え、MM / MC対応のPHONO 1系統を装備。さらにプリアンプをバイパスするPOWER AMP INも備えています。フォノイコライザーアンプには新開発の「Marantz Musical Premium Phono EQ」を搭載。繊細な信号の純度を損なうことなく、アナログレコードの音楽性を最大限に引き出します。
新たにPM-12に搭載された有機ELディスプレイは斜め方向からの視認性を大幅に向上。また、ボリュームや入力切替を操作した際にボリューム値や入力ソース名を一時的に大きく表示することにより確実な操作をサポートします。
SA-12と組み合わせて試聴した。竹内まりやの「シングル・アゲイン」では、ストリングスの流麗な感じよく、エコー成分が若干多いように感じられる。透明感が高いが、高域に微妙に存在感が高いところがあり、それが楷書体のスクエアな感じを持たせている。かつてのマイルドな音というイメージから、より積極的に音楽的な要素を聴かせてくれる芸風に成長したと言える。
トリフォノフのラフニマニフが印象的だった。このソフトでは大編成のオーケストラの大音量の醍醐味と、各パートの演奏の細やかなフレーズや音の質感表現力が要求されるが、両方の要素が見事に出てくる。駆動力をアスリートの体脂肪分のイメージで言えば、以前のマランツが20%くらいの感じだったのが15%ほどにも引き締まっている。筋肉質で鍛えられた印象を持っているのだ。
音の減衰のスピードがPM-12は速いことで(筆者は「音のしゃがみが速い」という言い方をしている)、このあたりのパフォーマンスの高さはかなり耳が気持ちいい。PM-12という単体の製品としても良くできたコンポーネントだ。
文:鈴木 裕
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。