商品について
超高域60kHz再生ツィーター
2Way化
新DDC回路方式
新フルデジタルアンプ
総合160Wバイアンプ駆動
ハイレゾ音源の高音質を本格的に楽しめるオールインワン デジタル・オーディオシステム
超高域60kHz再生ツィーター、2Way化、新DDC回路方式、新フルデジタルアンプ、総合160Wバイアンプ駆動
デスクトップオーディオのような近接距離(ニアフィールド)リスニングに最適なシステム
KS-7HQMのUSB入力にパソコンをつなぎ、音を聴いてみよう。奥行き80cmの机の上にパソコンと並べると、椅子に座った状態で耳からスピーカーの距離が1m強になる。左右の間隔をそれよりやや狭い程度に調整すると、中央に明瞭なステレオイメージが浮かび上がった。特にボーカルの音像は期待以上の精度の高さで定位し、輪郭のにじみやブレがないことに感心する。ベースがボーカルを上回る音圧で鳴っているのに声が澄んでいるのは、低音の制動が効いているためだろう。もしもアルミを使っていなかったら、キャビネットがブルブルと共振して低音がふくらみ、声の帯域にかぶってしまうはずだ。
低音を適切に制動すると量感が不足するのではと思いがちだが、実際はその考えは間違っている。制動が効かない低音は立ち上がりも立ち下がりも曖昧になってしまい、アタックもなまる。一方、素早く立ち上がる低音は楽器本来の音色を再現し、音の到達力も優れている。消えるときも余分な音を残さないので、リズムの特徴がしっかり伝わるのだ。KS-7HQMの低音は明らかに後者の性質を示し、音楽の躍動感をストレートに伝える素直さがある。パット・メセニーの『KIN』(96kHz/24bit FLAC)を聴くと、ベースとパーカッションのリズムがタイトでアグレッシブなことに気付くはずだ。優れたハイレゾ音源は音の立ち上がりなど過渡特性がCDよりも正確なので、再生機の条件さえ整えば、反応の良い低音を引き出しやすいメリットがある。
ハイレゾ音源のもう一つの特徴は、空間情報が豊富で、音場の立体的な広がりを正確に再現できることにある。高橋アキが演奏したサティのアルバム(192kHz/24bit FLAC)を聴くと、ピアノの澄んだ音色とともにその余韻のふるまいを細部まで精妙に聴き取ることができた。録音会場の聖クローチェ美術館の音響は、ピアニストがファツィオーリのピアノから引き出した澄み切った響きがそのまま自然に減衰するため、和音の微妙な色合いが正確に伝わるのだ。サイズに余裕のあるシステムならともかく、コンパクトなアクティブスピーカーからそこまでの情報を引き出すのは普通は不可能に近い。KS-7HQMのポテンシャルは期待以上に高いというのが、筆者の率直な感想だ。
文:山之内正
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。