商品について
アンドリュー・ジョーンズがELACと手を組んで初めて開発した「DEBUT LINE」の登場。
アンドリュー・ジョーンズがELACと手を組んで初めて開発した「DEBUT LINE」の登場。
カスタム・ドライバーとフロアスタンディングの設計は、DEBUT F5が本格的なステレオ再生や、マルチチャンネル再生の核となる優れたチョイスであることを物語ります。
5.25インチ(135mm)ウォーヴン・アラミドファイバー・ウーファーは、優れた硬さと軽さの比率を実現し従来のポリプロピレンやペーパー・コーンを超える減衰特性を有しています。
オーディオグレードのコンポーネントで構成され、カスタムされた6つの要素のクロスオーバーは、ドライバー間のスムースな伝送を確実なものとします。
エラックの新しいエントリークラスとなる「Debut」シリーズは、フロア型の「F5」、ブックシェルフ型の「B5」と「B6」を中心にセンタースピーカーやドルビーアトモスのイネーブルドスピーカーを加えたフルラインナップを揃え、日本にも主要モデルから順次導入が始まった。ジョーンズは同シリーズのためのドライバーユニットを手がけ、製品の開発を主導したので、彼自身もまたDebutシリーズでエラックのエンジニアとしての「デビュー」を果たしたことになる。
フロア型のF5を聴くと、ミッドレンジを追加してウーファーを強化したメリットを聴き取ることができる。低音の量感に余裕が出るのはもちろんだが、今回聞いた音源では、ベースやドラムの音域で解像度が上がる効果の方が大きいと感じた。量感が増すのはフロア型スピーカーでは一般的なことだが、解像度を上げるためにはドライバーユニットのレスポンスの改善に加えてキャビネットの共振を減らす必要があり、低価格モデルではそれがなかなか難しい。F5の内部構造を見ていないので詳細は不明だが、共振対策にもそれなりに手間をかけているのかもしれない。
低音の解像度の高さを確認するには、やはり音数の多いオーケストラ作品を聴くのがわかりやすい。ヤルヴィ指揮NHK交響楽団のR.シュトラウスで低弦、金管、打楽器が同じ音域で複雑に重なり合うフレーズを聴くと、それぞれの楽器の立ち上がりや音色の違いをきめ細かく鳴らし分けていることがわかる。複数の声部が絡み合うように動きながら、ある瞬間には正確にリズムがかみ合って音圧が一気に上がる。今回のN響の演奏はそのかみ合い方が突出していて、非常にテンションの高いサウンドを作り出しているのだが、そうした演奏の特徴をストレートに聴き取ることができたのは大きな収穫だ。
Debutシリーズは今回紹介したF5以外にも多様な製品を揃えているが、ステレオ再生ではB5とF5のいずれかを選ぶのが現実的な選択になるだろう。B5は期待以上に充実した低音を聴かせ、ミニマムなハイファイシステムのメインスピーカーとしても通用するバランスの良さが光る。F5はそれに加えて低音の情報量に余裕が生まれ、カバーする音楽ジャンルの幅も一気に広がる。少しだけ広めの部屋と設置スペースを用意できるのであれば、こちらを選ぶのもありだ。手持ちの小型スピーカーからグレードアップを狙う人にもお薦めできる。
文:山之内 正
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。