商品について
「VEGA(ベガ)」は、チタンよりも硬い全く新しい流体金属のハウジングに、非結晶カーボン(ADLC)をコーティングした直径8.5mm のダイナミック型ドライバーを搭載させた、世界初のイヤホンです。妥協を排し、一つ一つのパーツを突き詰め、より広いサウンドレンジの実現、高音域再現の更なる高み、そしてダイナミック型ドライバーらしいパワフルで深い低音域の再生、これら全てを兼ね揃えた設計がVEGA に込められています。
Non-Crystalline Diamond Dynamic Driver
VEGA の為だけに開発されたこのダイナミック型ドライバーには、厚さ9 ミクロンのADLC(アモルファス・ダイヤモンド・ライク・カーボン)膜をコーティングが施されています。ADLC とは、ダイヤモンドに近い非結晶の炭素膜のことで、ダイヤモンドのような高い硬度をを特徴としています。LYRA で採用した「ベリリウム」のドライバーよりも更に高い硬度を持つADLC コート振動板を採用した事により、更に音の伝搬が速く、熱伝導率が高いなど、振動板としてより優れた特性を実現しました。
Rare Earth Magnets Neodymium Power
VEGA に採用している「ネオジム磁石」は、希土類磁石(レアアース磁石)の一つであり、現状手に入れることが可能な永久磁石の中でも「最強の永久磁石」です。このパワフルでコンパクトなネオジム磁石は、ダイナミック型ドライバーのボイスコイルを動作させる為に使われています。
Liquid Alloy Metal Housing
VEGA のハウジング(イヤホン筐体)には、高密度で常温ではチタンよりも優れた硬度を持つ、流体金属を採用しており、このハウジングが卓越したサウンドを得るために重要な役割を果たしています。この独自に開発した流体金属のハウジングは、傷や腐食に強く、外観は高級感を保ち、アレルギー誘発物質を含まず、振動減衰の特性は優れ、剛性の高さは私たちがドライバーメーカーと開発したそれぞれのドライバーに対して、音響特性上の大きなメリットを持ちます。ハウジングの表面には高い透明度を誇るPVD 加工を施し、高級感を感じさせてくれます。
Custom MMCX
採用しているMMCX 端子には、ベリリウム銅が使われています。ベリリウム銅のような高い高度を持つ素材を使うことで、MMCX 端子の強度が増し、より安定した接続が得られます。これにより、他のMMCX 端子が抱える接続不良に関する問題を排除しています
Campfire Audio「VEGA」は、ダイナミック型ドライバーを搭載した同社の“第二世代”イヤホンで、ポイントは「チタンよりも硬いリキッドメタル合金の筐体」だ。第一世代の「LYRA」はセラミック、他は精密切削のアルミ合金製で、その筐体はブランドの個性だったが、今回一新した。
リキッドメタルは「比較的低温で溶け型に流し込みやすく、冷却すると非晶質の状態で固体化する」ことが特徴。その「非結晶」を指して「リキッド」と表現する。
その利点は一般的な金属の整然と並んだ原子構造と異なり、不規則に並ぶガラスのような構造で、金属の強靭さとガラスの硬度を併せ持つ点だ。傷が付きにくく化学的にも安定して、腐食しにくく薬品耐性も強い。
サイズは以前より小柄になり、エッジ処理も丸みを帯びた。ユーザーの耳の大きさや形との相性の良し悪しも出にくくなっただろう。
振動板には、樹脂素材の表面に「ダイヤモンド級の硬度がある非結晶化した炭素素材」を薄膜として定着させ特性を高める「ADLC(アモルファス・ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティング」を施す。MMCX端子の強度やケースの豪華さなどは第一世代から継承する。
では試聴に移ろう。実際に聴いた印象は、音色のしなやかさやほぐれの良さだ。相対性理論『たまたまニュータウン (2DK session)』のハイハットシンバルは、濃い粒子感、肉感とも言える厚みも備えるが音像もぼやけない。ボーカルが子音を意図的に強めに出す場面でも、しっかり出して歌の意図は生かしつつ耳は刺さらない、音楽的な高域表現だ。
Q-MHz feat. 小松未可子『ふれてよ』では、声の低音の響きを豊かに再現してくれる。低音はベースやバスドラムなどに意識が行きがちだが、良質な低域再生能力はボーカルの魅力も引き出す。
世代交代の進め方には様々なパターンがあるが、Campfire Audioは今回一気に切り替えた。同時期に同世代の中から好みのモデルを選ぶことができるので、興味を持っていた方にとっては良いタイミングが訪れたと言えるだろう。
文:高橋 敦
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。